rug
Zollanvari
イラン南部のザグロス山脈近郊で遊牧生活を送るカシュガイ族の女性たちが、自然の中で育んだ感性と家族の幸せを願う模様を織り込んだ絨毯。それがギャッベです。遊牧民の飼う羊は、冬の雨の恵みで育った草を食べ、豊かな羊毛を蓄えます。春毛は細く柔らかで長く、油分も多く含んだ上質な羊毛。それを手で紡いで糸にします。1本1本手作業で、結んでは切りを繰り返し、下絵なしで織り進められます。文様はそれぞれ意味をもち、自然界にあるさまざまな物、さまざまな色が、1枚の絨毯に織られていきます。ほかの工業製品にはない、温かさ、手作りならではの風合いを感じられるのがギャッベの魅力です。
ゴラムレザ・ゾランヴァリ
ギャッベの世界的ブームの礎を築いたのは、イランの絨毯商ゴラムレザ・ゾランヴァリ。彼のことをカシュガイ族の人々は「ギャッベの育ての親」と親しみと尊敬をこめて呼んでいます。現在、一般的に入手できる新しいギャッベで最高品質のものは、ゾランヴァリ社のギャッベ。いつまでも色落ちをしないといわれるのは、イランの広大な国土で収穫される天然染料と風土、そして徹底した品質管理によるもの。1950年代にはほとんどのギャッベが化学染料を使った糸で織られていたといわれています。この流れを断ち切り草木染めを復活させたのがゾランヴァリ。そんな彼の商品価値を高める努力と知恵によって、ギャッベは世界中にそのファンを広げることとなりました。
草木染め
ゾランヴァリ社の色鮮やかなギャッベは天然染料で染められています。ギャッベの基本カラーは、赤、緑、黄、茶、青の5色。広大な国土で収穫される豊富な天然染料と風土、徹底された管理が、化学染料のような色褪せを防ぎます。また、草木染めは防虫の効果もあります。
文様
<木> 生命の樹と呼ばれ、厳しい自然環境で育つ樹齢の長い糸杉やナツメヤシを描いた文様。長寿・健康への願い、永遠なるものへの願いが込められています。
<鹿> 子供に寄り添って大切に子育てをする習性があることから、家庭円満の象徴を表しています。
<オオカミの足跡> 花のように見えるのは、実はオオカミの肉球。遊牧民にとって羊や山羊を襲う恐ろしい存在のオオカミの肉球を織り込むことで、魔除けを意味すると言われています。
オールドギャッベ
30~40年ほど前に織られた年代物のギャッベ。遊牧民が日常使いの敷物として、移動に便利なよう幅1m長さ2m前後の細長いギャッベを、クルクルと丸めて、ロバやラクダの背にくくりつけて移動していました。ゾランヴァリ社のスタッフが遊牧民の住む村やテントを訪ね歩き、オリジナルで状態の良いものを収集。その後丹念に洗浄や補修して、ギャッベに再び命を与え、市場に送り出しています。カシュガイ族だけの感性で織られた古いギャッベの中には、はっと息をのむような逸品があります。四角や菱形といった幾何学文様や、力を象徴するライオンやヒョウなどが古いオリジナルのギャッベでは頻繁に見かけられます。経年変化でしかでない独特な深みのある色と、新しいものにはない光沢感と柔らかさがオールドにはあります。
ミニギャッベ
小さめサイズの「ミニギャッベ」は、初めてギャッベを試される方にもおすすめです。椅子やベンチ、車の座席シートに座布団の代わりに敷いたり、また壁に飾ってアートとしても楽しんでいただけます。小さくても、夏は涼しく冬は暖かいギャッベの特徴は変わりません。天然染料で染められた美しい色合いが、インテリアに彩りをプラスしてくれます。